そけいヘルニアとは、「脱腸」とも呼ばれています。 太ももの付け根の上あたりにある「そけい部」が膨らむ病気です。 その膨らみは、小腸や大腸の一部が、はみ出してしまったものです。 気づかないこともありますが、体の左右のそけい部の差があり、膨らみを触ると内側に塊みたいなものを感じます。 その塊みたいなものを押すと引っ込み、膨らみもなくなります。 このような症状を「そけいヘルニア」といいます。 最初は、ピンポン玉くらいの塊です。 いつからできていたのか本人もわからないことが多く、入浴中など左右の違いに気づいたり、せきや排便の時にかかる腹圧で分かることがあります。 痛みなどがないからとそのまま放置していると、徐々に腸が多くはみ出してしまい、膨らみも大きくなります。 そして、軽い痛みや違和感がでてきます。 はみ出した腸などが、出口の部分で締め付けられてしまい、元の状態に戻れなくなることがあります。 これを「嵌頓ヘルニア」といいます。 この嵌頓ヘルニアは、強い痛みを伴い、腸への血流も悪くなり、組織が壊死してしまうこと可能性もあります。 そうなると、命にもかかわることなので、緊急手術が行われます。...
まず、小腸や大腸の構造ですが、「腹膜」「腹壁」などに覆われています。 「腹膜」は、半透明の膜です。 「腹壁」は、いくつかの筋肉や筋肉を覆う「筋膜」などが層になっています。 そけいヘルニアが起こる原因は、まだ解明されていないことが多いです。 主に「腹壁の力が弱くなる」「腹圧がかかる」の2つの要因が考えられています。 本来は、腹壁の力で内臓は腹腔の中に納まっています。 そのため、腸などは腹壁の外へはみ出すことはありません。 しかし、加齢などでも筋肉の減少や筋膜の弾力の衰えなどから、そけい部の腹壁に弱い部分や隙間ができます。 そして、そのそけい部の腹壁に弱い部分や隙間から腸などがはみ出しやすくなります。 また、日常においても仕事などで重いものを持ったりすると圧力がかかり、さらに腸がはみ出しやすくなり、そけいヘルニアが起こりやすくなります。 大人のそけいヘルニアは、男性に多いです。 そけいヘルニアの人のおよそ80%を占めています。 普通のそけいヘルニアは、特に命にかかわるような病気ではありません。 しかし、「痛みがある」「膨らみが戻りにくい」などの症状があるときは、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 また、気になる場合も外科にかかるとよいと思います。...
受診したときにそけい部が膨らんでいるなら、「問診」「触診」だけで診断できます。 CT検査などの画像検査は、必要なときに行います。 逆に、そけい部が膨らんでいないときは、造影剤を用いて、エックス線で撮影する「腹腔造影検査」をすることもあります。 そけいヘルニアの治療で行う手術の内容は、はみ出した腸や粘膜を腹腔に戻して、出口の部分を塞ぎます。 手術後は、安静が必要です。 入院する期間は、1週間以上です。 また、縫合箇所が裂けてしまうことがあり、再発率はおよそ5?15%です。 現在行われている手術では、合成繊維でできた網目状のメッシュで出口を塞ぎます。 合成繊維でできた網目状のメッシュは、体内にそのまま残しても害がありません。 そして、入院する期間も短く、再発率も低いです。 20歳?30歳代の人には、メッシュを使用しないことがあります。 出口の部分で腹膜を縛って、袋状に伸びた余分の腹膜を切除すると、筋肉が自然に出口を塞ぎます。 ただし、小児とは異なり、出口を2?3針縫合して補強するのが一般的です。 手術法は、主に次の2つです。 切開法・・・そけい部をおよそ4cm切開します。 また、数cm上をおよそ3cm切開する方法もあります。 腹腔鏡法・・・へその周りにおよそ3ヵ所の小さな孔を開けて、専用の器具「腹腔鏡」などを挿入して行います。...
日本で現在行われている多くは、「切開法」です。 行われている切開法についてまとめました。 手術時間・・・通常、30?40分ほどです。 入院期間・・・多くの場合、2?3日間です。 健康状態によっては、日帰り手術をすることも可能です。 手術の傷痕・・・縫合する糸は、体に吸収されるため、皮膚に埋め込むように縫合します。 そのため、抜糸もなく、1年ほどで傷痕も目立たなくなります。 歩行・・・通常は、術後翌日から歩きます。 座るときなどは、痛みが少しあるかもしれません。 そういった場合は、手術した部分に力がかからないように注意することが大切です。 食事・・・ほとんど食事の制限はありません。 入浴・・・退院の日からシャワーを使用しても構いません。 入浴は、1?2週間後から徐々に始めます。 仕事復帰・・・軽度の家事やデスクワーク程度は、3?4日後からしても構いません。 ただし、混雑している電車に乗ったりすることは、避けてください。 また、重いものを持ったり、長時間の立ち仕事は、1?2週間後から徐々に始めます。 再発・・・手術をしたから再発しないということはありません。 手術をした反対側にそけいヘルニアが起こることもあります。 再発させない予防策もないので、再発したらまた手術をしなくてはなりません。 嵌頓ヘルニアの緊急手術を除いたそけいヘルニアの手術は安全とされています。 でも、まったく合併症がないということではなく、まれに慢性的な痛み、違和感などが続くこともあります。 担当医師に相談し、よく説明を聞いて手術を受けるようにしてください。...